お米の扱い方
研ぎ方・水加減・保管

お米は生き物です。何度も書きます。そのお米を『ごはん』という調理をして食べられるのは人間だけです。どうせなら、おいしいお米もそれなりのお米も、おいしい『ごはん』にして食べてみたいですよね。食べる前の前哨戦となる、研ぎ方や水加減、保管の仕方などをまとめていきたいと思います。

ササニシキとひとめぼれの生誕地である宮城県古川の農事試験場のたんぼのとなりが母校であり、米の味にうるさい筆者が長年実践しているお米の炊き方を紹介しましょう。

研ぎ方

この研ぎ方は、大正4年生まれの畠山さくえ式という研ぎ方です。これでまずいという評価は聞いたことがないので、お試ししてみてください。

  1. その日必要な合数のお米を、大きめのボールに入れる。
  2. 水道水でまったくかまわないので、ひたひたに水を入れ米がこぼれ落ちないように、初回の水を流し捨てる。
  3. 水のなくなったボールの中のお米を右手の手のひらの下部で押すように、時計回りに10回。逆に2回研ぐ。水を入れて流し捨てる。
  4. 3の工程をさらに二回繰り返す。
  5. その後は水道の水圧にまかせて、米の研ぎ水が透明になるまで流し捨てる。
  6. 完成。

今は、米がつぶれないように、やさしく扱うとか、泡立て器で手をふれないまま研ぐとか編み出されていますが、手のアミノ酸とお米の成分が、手のひらの下部でぎゅっぎゅっとした時に化学変化を起こして、おいしくなるのです。だから、力を入れていいのです。これが江戸時代末期からつたわる、どんな米もおいしくなる研ぎ方です(平成5年の猛暑でタイ米が入ってきた時にも実証済みです)。

水加減

水は、今ミネラルウォーターでとか言う料理研究家とやらがいますが、大都会の高層マンションの水槽に一回入る水でなければ、水道水でもおいしく炊けます。今は炊飯器の質がとてもいいので、炊飯器の水加減目盛にセットして大丈夫です~畠山さくえ式だと、手のひらと腕の付け根のちょっと下までです。新米(つきたて含)の時は、心持ち少なめにしてください。ML言うと大さじ1杯くらい水を控えるって状態です。また納豆などべたべたしたごはんにはからめづらい時は、もう少し少なくしてもいいです(小さじ1くらい)。反対に、古米(ついてから2ヶ月以上たってるもの含)は、心持ち大目にしてください(中さじ1~2くらい)。これでふっくら炊けます。古米特有のニオイもするかもしれないので、100円均一にある炊飯用の小さい炭を入れてもいいかもしれません。

さて浸す時間は、最低40分お米と水を寝かせてください。夜中だと炊き頃を教える『きゅっ』という音が聞こえるのですが。古米は古米ほど浸す時間を長くしてください。今の炊飯器は研いですぐ炊けるをうたい文句にしてるものもありますが、やはり浸す時間を手を抜かないほうがおいしいです。

保管方法

玄米は、冷暗所に置いてください。といって今の家庭事情で納屋とか断熱作用のある物置は望めませんので、ジャマでも、上にフリーカバーなどをして家の中で一番日の当たらない涼しい部屋の隅にでも置いてください。ついたお米は必要なだけ、台所におけるストックケースにこまめに補充してください。外を通っていると日の当たる台所の水回りの台にそのストックケース置いている光景を見かけますが、これはお米になにか恨みがある仕業としか考えられません。冷蔵庫に収納しろとまではいいませんが、やはり台所の一番涼しいと思われる場所。冷蔵庫の裏面のあたらないコンロの熱気のこない空間に置いてください。

なんだか、意地の悪い姑のような指示の出し方ですが、生き物をおいしくいただくためには、人間が譲歩しなければならない点もあります。一度この手順をおぼえてしまったら、後は毎日の作業なので句にはならないはずです。どうぞ、試してみてください。